化膿性汗腺炎の原因は何? 化膿性汗腺炎の原因は何?

毛穴の詰まりから始まる炎症が原因と考えられています。

化膿性汗腺炎の原因は、正確にはわかっていませんが、何らかの原因による
毛穴の詰まりが引き金と考えられています。
毛穴が詰まると、毛を包む袋がやぶれ、内容物が周囲に漏れ出すため、
周囲の組織に炎症を引き起こして、腫れ・痛み・膿の原因となることがあります。

毛穴の詰まりに始まる発症・慢性化の流れ 毛穴の詰まりに始まる発症・慢性化の流れ

  1. 1

    毛穴が詰まり、
    毛を包む袋の内容物が袋内にたまる

  2. 2

    毛を包む袋がやぶれ、
    内容物が周囲に漏れ出す

  3. 3

    周囲の組織が
    内容物に反応して炎症を生じる

    私たちの体内には、異物(もともと、組織内になかった物質)が侵入してくると、これを排除して身を守る自己防衛システムがあります。このシステム反応の進行中には、発熱・腫れといった症状(炎症症状)が出る可能性があります。皮膚組織にとっては、毛を包む袋の内容物は異物の一種です。

  4. 4

    そのため、赤く腫れ、
    痛みをともない、
    時には膿を生じ、
    炎症はさらに周囲に拡大する

この繰り返しにより、慢性化していきます。 この繰り返しにより、慢性化していきます。

化膿性汗腺炎患者の特徴 化膿性汗腺炎患者の特徴

化膿性汗腺炎は、
20〜40歳台で発症し、
わきや臀部などに好発することが特徴です。

何歳くらいの患者さんが多いの?

化膿性汗腺炎は、10歳台後半以降の男女に発症することがほとんどで、もっとも発症しやすい年齢は、20〜40歳台です 1)

1)照井正. 皮膚科の臨床 2018; 60: 353-360

男性と女性で、差はあるの?

女性の患者さんのほうが 2 倍以上多く、性別・年代別に分けてみると、20-29歳の女性のグループに属する患者さんの数がもっとも多かったという報告がありますが(海外データ) 2)、国内では男性の患者さんのほうが多いという報告もあります 1)

1)照井正. 皮膚科の臨床 2018; 60: 353-360

2)Vazquez BG, et al. J Invest Dermatol 2013; 133: 97-103

どの部位に発症しやすいの?

患者さんを「わきの下または乳房型」「陰部またはあしの付け根型」「お尻型」の3つの型に分けて数えると、「わきの下または乳房型」の人が48%、「陰部またはあしの付け根型」と「お尻型」がそれぞれ26%で、約2:1:1で「わきの下または乳房型」が多かったという報告があります(海外データ) 3)

3)Canoui-Poutrine, et al. J Invest Dermatol 2013; 33: 1506-1511

どのような人がかかりやすいの?

海外のいくつかの報告では、喫煙者と肥満の人が化膿性汗腺炎の患者さんの中に多く、このような患者さんは再発しやすいとされています 4)。多くの研究の結果、喫煙は大いに化膿性汗腺炎と関連があるらしいということは、ほぼ確実とみられています。肥満については、海外の研究では関連性が指摘されていますが、日本人にもこの傾向があてはまるのかについては、現時点では、まだ不明です。また、患者さん全体でみると、30〜40%の患者さんが遺伝的要素と関連があったと報告されていますが(海外データ) 4)、遺伝的要素だけが問題なのか、遺伝的要素と喫煙や肥満が重なった場合が問題なのかについては、まだ、はっきりとしたことはわかっていません。

4)Zouboulis CC, et al. J Eur Acar Dermatol Venere 2015; 29: 619-644

もしかしたら 化膿性汗腺炎? 簡単セルフチェック もしかしたら 化膿性汗腺炎? 簡単セルフチェック

  • 監修

    日本大学総合科学研究所 教授(研究所)照井 正 先生

  • 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 皮膚科部長 林 伸和 先生

シェア