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- 膿腫(のうしゅ)・膿瘍(のうよう)−皮膚の下に膿がたまったしこりを膿腫、さらに膿がたまって袋がやぶれ、ぷよぷよしたものが膿瘍です。
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上記イラストはイメージ図です。
思春期以降に発症し、痛みがあり、繰り返しできる慢性炎症性の皮膚の病気です。炎症症状は、わきの下、お尻、太ももの付け根、乳房などによくでき、主な症状としては赤く腫れ上がったおできのような症状ですが、進行するとおできに膿がたまり、さらにはおできどうしがつながって、皮膚の下にトンネルができ、炎症を繰り返して瘢痕(はんこん)が残ります 1) 。
重症になると日常の活動が制限されることがあり、就業が困難になるケースもあります 2)。海外では100人に1人がかかると報告されており 3)、細菌による感染症と誤認されることも多い疾患ですが、感染は主原因ではないとされています 4)。また特に喫煙は、化膿性汗腺炎に影響があると報告されています 5)。
病気の認知度が低く、何年も診断名がつかないことが珍しくありません。化膿性汗腺炎であると診断されるまでにかかった平均年数は7年と海外では報告されており、受診回数も多いと言われています 6)。
また、日本で「臀部慢性膿皮症(でんぶまんせいのうひしょう)」として診断治療されているものも、化膿性汗腺炎に含まれます。
- 1)Hunger RE, et al. Dermatology. 2017; 233:113-119
- 2)Jemec G. Clinical and experimental dermatology. 1996; Vol.21(6):419-423
- 3)Revuz J., J Eur Acad Dermatol Venereol. 2009 Sep;23(9):985-998
- 4)Jemec G. Hidradenitis Suppurativa. N Engl J Med. 2012; 366:158-164
- 5)Margesson LJ, et al.Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol. 2014 Oct;28(7):1013-1027
- 6)Saunte DM, et al. Br J Dermatol. 2015 Dec;173(6):1546-1549
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監修
日本大学総合科学研究所 教授(研究所)照井 正 先生
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国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 皮膚科部長 林 伸和 先生